近年「リスキリング」が注目されており、国の政策の一環としてリスキリング支援が積極的に行われていたり、社員のリスキリングに取り組む企業も増えてきています。
このような時代の中で、新たなスキルを身に着けるために資格取得を考えている人も多いのではないでしょうか。
既に目指したいものが決まっている場合は特に悩むこともないですが、「資格」といっても様々な分野で様々な難易度の資格があるため、どの資格を目指せばいいか分からないという人もいると思います。
そこで、この記事では
- 最初の資格におすすめの資格(分野別)
- ダブルライセンスにおすすめの資格
- ビジネスマン必須の4大資格
- 日常生活で役立つ4大資格
について詳しく紹介していきたいと思います。
最初の資格におすすめの資格
それでは、最初の資格におすすめの資格を各分野別に紹介していきます。
法律分野
法律分野で最初の資格におすすめの資格は「ビジネス実務法務検定3級」です。
ビジネス実務法務検定は企業が求める、ビジネスシーンで必要とされる実践的な法律知識を身につけることができる試験です。
ビジネス実務法務検定3級の上位資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- ビジネス実務法務検定2級★★
- ビジネス実務法務検定1級★★★
- 行政書士★★★
- 司法書士★★★★
- 弁理士★★★★
- 弁護士★★★★★
また、上位資格である行政書士以上を目指した方が仕事の幅が広がりますが、上位資格以外にダブルライセンスとしての相性がいい資格は以下が挙げられます。
- 宅地建物取引士★★
- 中小企業診断士★★★
中小企業診断士は難関資格の部類にはいりますが、宅地建物取引士は取得しやすい資格のためダブルライセンスを目指したい場合はおすすめです。
会計分野
会計分野で最初の資格におすすめの資格は「日商簿記3級」です。
日商簿記検定は取得することで企業の経理事務に必要な会計知識だけではなく、財務諸表を読む力、基礎的な経営管理や分析力が身につきます。
日商簿記3級の上位資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- 日商簿記2級★★
- 日商簿記1級★★★
- 税理士★★★★
- 公認会計士★★★★★
簿記を勉強する場合、上位資格である税理士や公認会計士まで目指した方が仕事の幅が広がりますが、上位資格以外にダブルライセンスとしての相性がいい資格は以下が挙げられます。
- FP(ファイナンシャルプランナー)★~★★★
- 社会保険労務士★★★
- TOEIC★~★★★
社会保険労務士は難関資格の部類にはいりますが、FP3級・2級程度であれば取得しやすい資格のためダブルライセンスを目指したい場合はおすすめです。
また、簿記・会計の知識は基本的に世界共通のため、語学力をつけることでグローバルに仕事をすることが可能となります。
金融分野
金融分野で最初の資格におすすめの資格は「FP技能検定3級」です。
FP(ファイナンシャルプランナー)は家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識を持ち、相談者のサポートをする専門家のことをいいます。
FP技能検定3級の上位資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- DCプランナー★★
- FP2級★★
- AFP★★
- FP1級★★★
- CFP★★★
- 証券アナリスト★★★
- CFA(米国証券アナリスト)★★★★
FPを勉強する場合、FP2級以上または上位資格であるCFPや証券アナリストまで目指した方が仕事の幅が広がりますが、上位資格以外にダブルライセンスとしての相性がいい資格は以下が挙げられます。
- キャリアコンサルタント★★
- 税理士★★★★
- 中小企業診断士★★★
- 社会保険労務士★★★
- 宅地建物取引士★★
税理士等は難関資格になりますが、キャリアコンサルタントや宅地建物取引士は取得しやすい資格のためダブルライセンスを目指したい場合はおすすめです。
経営・労務分野
経営・労務分野で最初の資格におすすめの資格は「企業経営アドバイザー」です。
企業経営アドバイザーは幅広いビジネスパーソンを対象として、適切な事業性評価に基づいた経営支援を行うことができる人材として認定する資格です。
企業経営アドバイザーの上位資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- 社会保険労務士★★★
- 中小企業診断士★★★
知識習得の一環としてではなく独立開業を目指すうえで企業経営アドバイザーを取得した場合は、上位資格である社会保険労務士や中小企業診断士まで目指す必要がありますが、以下の2つもダブルライセンスとしての相性がいい資格といえます。
- 税理士★★★★
- 公認会計士★★★★★
税理士や公認会計士も独立開業向きの資格のため、独立開業を目指す場合は最終的にこれら士業資格の習得を目指しましょう。
不動産分野
経営・労務分野で最初の資格におすすめの資格は「宅地建物取引士」です。
宅地建物取引士は不動産取引の専門家(宅建士)を示す資格で、独占業務として「重要事項の説明」や「35条書面(重要事項書面)への記名」「37条書面への記名」などがあります。
宅地建物取引士の上位資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- 管理業務主任者★★★
- マンション管理士★★★
- 建築士★★★
- 不動産鑑定士★★★★
宅地建物取引士は国家資格であり独占業務がありますが、試験自体の難易度はそこまで高くなく取得している人も多いため独立開業を目指す場合は上位資格の取得が必要ですが、上位資格以外にダブルライセンスとしての相性がいい資格は以下が挙げられます。
- 賃貸不動産経営管理士★★
- FP(ファイナンシャル・プランナー)★~★★★
- 行政書士★★★
- 税理士★★★★
行政書士や税理士は難関資格となりますが、賃貸不動産経営管理士やFP2級までであれば宅地建物取引士と同程度の難易度で挑戦しやすいため、取得しておくと仕事の幅が広がります。
IT分野
IT分野で最初の資格におすすめの資格は「ITパスポート」です。
ITパスポートは国家試験である情報処理技術者試験のうちの一つで、IT系の国家試験では入門レベルにあたり、取得することで仕事をするために最低限必要なIT知識が身につきます。
ITパスポートの上位資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- 情報セキュリティマネジメント★★
- 基本情報技術者★★
- 応用情報技術者★★★
- ITストラテジストなどのマネージャー系IT資格★★★★
- データベーススペシャリストなどのエンジニア系のIT資格★★★★
ITパスポートはIT分野の資格の中で最も難易度が低くITスキルの入門のような立ち位置のため、IT分野で活躍したい場合は上位資格の取得が必須ですが、上位資格以外にダブルライセンスとしての相性がいい資格は以下が挙げられます。
- TOEIC★~★★★
- 中小企業診断士★★★
- 気象予報士★★★
中小企業診断士とのダブルライセンスの場合、DXを進めたい中小企業やITベンチャー企業へのアドバイスが可能となります。
また、気象予報士とのダブルライセンスの場合、ビッグデータ分析などでIT知識が役立つため取得することで付加価値を作ることができます。
語学分野
語学分野で最初の資格におすすめの資格は「TOEIC」です。
TOEICよりも英検の方が実用的かつ難易度は高いですが、TOEICはビジネス英語に特化しているため、就職・転職時やビジネスの場ではTOEICの点が重視されます。
TOEIC以外の語学分野の資格としては以下のような資格があります。(★は難易度)
- 英検★~★★★★
- TOEFL★★~★★★★★
- IELTS★★~★★★★★
- 通訳案内士★★★
語学ができると、そこに会計の知識を掛け合わせることでグローバルに活躍することが可能となります。
国際関係のダブルライセンスとしての相性がいい資格は以下が挙げられます。
- CFA(米国証券アナリスト)★★★★
- EA(米国税理士)★★
- USCPA(米国公認会計士)★★★
- USCMA(米国公認管理会計士)★★
これらの国際会計の資格は内容だけでみると日本の税理士や公認会計士試験より難易度が低くなりますが、いくら語学力があっても会計知識ゼロの場合いきなりこれら国際会計の資格に挑戦するのはハードルが高いです。
そのため、日商簿記3級・2級で会計の基本的な知識を身に着けたうえで国際会計の資格を目指すのがおすすめです。
パソコン実務
パソコン実務なら「MOS(スペシャリスト)」がおすすめです。
MOSは、マイクロソフト社が認定する民間資格で、Word・Excel・PowerPointなどを実際に使いこなすスキルを証明する資格のため実技試験が行われます。
先に紹介したITパスポートとどちらを取得するか悩む人もいると思いますが、ITパスポート試験は4肢択一式による試験で実技試験はないため、即戦力として実務能力が求められる場合には、MOSの方が重宝されます。
MOSはスペシャリストの上級レベルとしてエキスパートレベルがあります。
スペシャリストレベルは、 普段よく利用される基本的な機能が中心でWordやExcelの学習が初めての方でも合格を目指せるのに対し、エキスパートレベルは組織としての文書管理やデータ集計、グループワークを意識した機能や管理を目的とした機能など、 ワンランク上の生産性の高い機能が中心です。
より高いスキルを身に着け業務効率化を図りたいという場合はエキスパートレベルまで取得するのがおすすめです。
ビジネスマン必須の4大資格
今や会計・IT・英語はビジネスマンの3大必須スキルとなっています。
そのため、どの分野にいてもこれら3つの知識は最低限の知識として身に着けておくべきともいえます。
また、3大必須スキルには含まれていないですが、FP(ファイナンシャルプランナー)についても年金・社会保険、資産運用、税制、保険など生きていく上で避けては通れない社会制度の仕組みの基礎を一通り学ぶことができるため、ビジネスマンとしては必須の資格の一つといえます。
そのため、以下の資格はビジネスマン必須の4大資格といえます。
- 日商簿記検定
- FP技能検定
- ITパスポート
- TOEIC
なお、上記は最低限のレベルのため、実務で評価されるレベルは
- 日商簿記・FP 2級以上
- TOEIC 650点以上
となります。
日常生活で役立つ4大資格
以下の4つの資格はビジネスに役立つだけでなく、日常生活に役立てることができます。
- 日商簿記検定:家計管理に役立つ
- FP技能検定:ライフプランニングに役立つ
- 宅地建物取引士:住宅の購入や不動産投資に役立つ
- TOEIC:コミュニケーションに役立つ
仕事では全く関係のない分野にいる場合も、取得して損はない(生活面で直接役立てることができる)資格です。
そのため、あまり多くの勉強時間を確保できないけれどビジネスマンとして必要な最低限の知識や仕事・日常で実際に役立つ知識を習得したいという場合は、先に紹介した【ビジネスマン必須の4大資格】とあわせて
- 日商簿記3級
- FP3級
- ITパスポート
- 宅地建物取引士
- TOEIC
これらの資格からまずは挑戦していくのがおすすめです。