毎年数十万人が受験する日商簿記検定。
就職・転職に役立つ資格としても有名なため、受験を考えている人も多いと思います。
そこで、この記事では
簿記検定を取得するメリット・デメリット
を紹介していきたいと思います。
簿記を学ぶことで身に着くこと
簿記を学ぶことで、身につくことはざっくり以下の3つです。
- 日々の取引を記帳できる
- 財務諸表を作成し、読むことができる
- (簿記2級から)原価計算を理解できる
簿記検定を取得するメリット
簿記検定の取得には様々なメリットがあります。
ここでは、仕事・就職面でのメリット、日常面でのメリット、資格面でのメリットの3つのポイントで紹介していきます。
仕事・就職面でのメリット
仕事・就職面でのメリットとしては以下の4つが挙げられます。
- 学生の場合、就職のときに有利になる(2級以上)
- 会社によって資格手当がもらえる
- 経理・財務系の転職に有利になる
- 異業種/他部署の場合、希少性が高まる
簿記2級以上を取得していると、業界により就職や転職でアピールポイントになります。
また、資格手当がもらえる会社もあります。
異業種/他部署、例えば営業職で他に簿記に詳しい人が少ない場合、簿記の知識があることで簿記視点から商品を紹介できる、などのメリットがあります。
日常面でのメリット
日常面でのメリットとしては以下の2つが挙げられます。
- 家計管理に応用できる
- 株式投資に役立つ
簿記は日々の取引を記帳し、最終的な資産/負債/売上/費用を把握することができます。
これを日々の家計管理に応用することで、毎月どのくらいお金が入ってきてそのうちのいくら手元に残ったのか、実際の純資産(資産-負債)はいくらなのか把握することができます。
【イメージはこんな感じです】
資産→購入した家、株など
負債→ローン
売上→給与
費用→食費、交通費、通信費など
また、企業の財務諸表が読めるようになるため、株式投資をしている人はどの会社の株を買うかの参考にすることができます。(株式投資をするなら財務諸表を読めるようになるのはマストですよね)
資格面でのメリット
資格面でのメリットとしては以下の2つが挙げられます。
- 簿記1級なら税理士試験の受験資格になる
- 国家資格(税理士、公認会計士など)への足掛かりになる
会計系の国家資格である税理士試験の会計科目には簿記論・財務諸表論があり、公認会計士試験の会計科目には財務会計論・管理会計論があります。
これらの国家資格は難関資格と言われていて、予備知識ゼロでいきなり挑むのはかなりハードルが高いため、これら会計科目の原点となる簿記を学ぶことが難関資格への足掛かりになるといえます。
よく言われるけれどメリットにはならないこと
これまで仕事・就職面、日常面、資格面でのメリットをそれぞれ紹介してきました。
この他にも簿記のメリットとしてよく挙げられるポイントとして
- 専門性が身につく
- 将来のお金の不安が解消する
- 確定申告に役立つ
- 経営に役立つ知識が身につく
などがありますが、これら4つは個人的にはあまりメリットといえないかなと思います。
- 専門性は身につきません
ある程度専門的な知識ではありますが、簿記2級程度までであればそこまで高度な知識ではないため”専門性がある”とはいえません。
- 将来のお金の不安は解消しません
簿記は日々のお金の流れを記録するものなので、将来のお金の不安は解消しません。ライフプランについて細かく学べるFP(ファイナンシャルプランナー)の知識の方が将来のお金の不安という点では役立ちます。
- 確定申告にはそこまで役立ちません
確定申告は個人の場合所得税法、法人の場合法人税法の知識が必要になります。
青色申告で65万円の青色申告特別控除を受けたい場合は複式簿記での記帳が必須のため簿記の知識が必要になりますが、簿記の知識だけでは確定申告自体はできるようになりません。
- 経営に役立つ知識は身につきません
簿記は日々のお金の流れを記録するものなので、経営に必要な知識は身につきません。資金計画や事業計画書など経営に必要な知識は経営学を学ぶ必要があります。
簿記検定を取得するデメリット
簿記検定を取得することのデメリットは基本的にはありません。
もちろんただ簿記検定を取得しただけで全く簿記の知識を使わない仕事に就いて、家計管理に役立てるつもりもない、という場合はお金と時間だけを使ったと感じてしまいますが、資格試験に合格するために勉強した経験は無駄にはなりません。
ただ、簿記は向き不向きがあるため、向いていない場合は早めの諦めも肝心です。
向いていなのにずるずると勉強し続けてしまうと、それこそ時間とお金を無駄にしてしまいます。
例えば、私の知り合いで法学部でとても優秀で法律系に強いけれど、簿記はさっぱりという人がいました。
また、不動産に興味があり、宅建を数か月で合格したけれど簿記は全くダメで3級すら参考書を見るだけで頭が痛くなると言ってる人もいました。
個人的に簿記は結構センスが必要な科目と思っているので、どうしても興味が持てないしいくら参考書を読んでも頭に入ってこない、という場合は他の資格にシフトするのもおすすめです。
まとめ:簿記検定を取得するメリット・デメリット
この記事では、簿記検定を取得するメリット・デメリットをそれぞれ紹介してきました。
仕事・就職面でのメリット
- 学生の場合、就職のときに有利になる(2級以上)
- 会社によって資格手当がもらえる
- 経理・財務系の転職に有利になる
- 異業種/他部署の場合、希少性が高まる
日常面でのメリット
- 家計管理に応用できる
- 株式投資に役立つ
資格面でのメリット
- 簿記1級なら税理士試験の受験資格になる
- 国家資格(税理士、公認会計士など)への足掛かりになる
デメリット
- デメリットはありません。
ただ、簿記は向き不向きがあるため、向いていない場合は他の資格をみてみるのもおすすめです。
このように、簿記検定を取得することは様々な面でメリットがあります。
特に3級は商業簿記のみ(2級からは工業簿記が範囲に加わります)で全くの初心者でも取り掛かりやすい内容になっています。
簿記に興味がある方はぜひ簿記検定の取得を目指してみてください。