就職・転職に役立つ資格として人気の簿記検定。
比較的難易度が低く、学生でも取得している人が年々増加傾向にあるため、
簿記3級は誰でも受かる
と思っている人も多いと思います。
では、実際簿記3級は誰でも受かるような簡単な試験なのでしょうか。
この記事では
- 簿記3級は誰でも受かるのか
- 誰でも受かるといわれる理由
- 簿記3級に落ちる理由
- 簿記3級に合格するために必要なこと
について詳しく紹介していきます。
簿記3級は誰でも受かる?
”誰でも受かる試験”というイメージを持たれがちな簿記3級ですが、では、実際に誰でも受かる試験なのでしょうか。
結論としては、当たり前ですが簿記3級は誰でも受かる試験ではありません。
以下は、直近5回分の簿記3級の合格率のデータです。
試験回 | 合格率 |
164回(2023.6.11) | 34.0% |
163回(2023.2.26) | 36.5% |
162回(2022.11.20) | 30.2% |
161回(2022.6.12) | 45.8% |
160回(2022.2.27) | 50.9% |
参考:簿記 3級受験者データ(統一試験) | 商工会議所の検定試験 (kentei.ne.jp)
合格率50%を超えている回もありますが、直近3回はすべて30%代となっています。
30~40%が合格するということは、逆にいうと60~70%が不合格になっているということです。
このように、実際の合格率のデータからも誰でも受かる試験ではないということが分かります。
簿記3級は誰でも受かるといわれる理由
簿記3級は誰でも受かる試験ではないということをお伝えしました。
では、なぜ”簿記3級は誰でも受かる”といわれているのでしょうか。
簿記3級は比較的難易度が低く、学生でも取得している人が多いため、そのイメージが先行して「簿記3級は誰でも受かる」に繋がってしまっている傾向があります。
また、比較的難易度が低いといっても簿記は会計という専門的な領域のため、よほど元々の能力が高くかつ抜群な簿記のセンスがある人でない限り、合格するためには真面目に勉強する必要があります。
そのため、一度でも簿記3級を受けたことがある人で”簿記3級なんて誰でも受かる”という人は少なく、受けたことがない人がイメージで言っていることが多いのかなと個人的には思います。
または、簿記3級の上位資格や他の分野の資格をいくつか持っている人で、色々な資格の勉強をして比較した結果、
(真面目に勉強さえすれば)簿記3級は(他の資格と比べて)誰でも合格できる(可能性が高い)
という意味で言ったことが
簿記3級は誰でも受かる
になってしまったということも考えられます。
簿記3級に落ちる理由
簿記3級は誰でも受かる試験ではないですが、比較的難易度が低く、合格率も高い場合は50%程度まで上がることもあるのでしっかり勉強すれば合格できる可能性は高いです。
実際、学生でも簿記3級を取得しているという人は年々増加傾向にあります。
では、簿記3級に落ちてしまった場合どんな理由があるのか、考えられる5つの落ちる理由を紹介します。
簿記に向いていない
簿記3級に落ちる原因として、まず簿記に向いていないということが挙げられます。
簿記3級は比較的難易度の低い試験ですが、他の試験と同様、簿記にも向き不向きがあります。
もちろん簿記に向いていないからといって絶対合格できない!というわけではありません。
ただ、簿記が向いている人よりは合格までに時間がかかったり勉強中に苦労するポイントが多い可能性が高いです。
そこを認識せず、簿記が向いていないにも関わらず”簿記なんて誰でも受かるでしょ”というスタンスで適当に勉強していると、いざ試験を受けてみたら不合格だった、という結果になってしまいます。
真面目に勉強していない
そもそも真面目に勉強していない場合も簿記3級に落ちることが十分あり得ます。
簿記3級では、商業簿記といい、購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する技能を学びます。
どのように記録するのか、その記録を最終的にどのような形(決算書)に仕上げるのか、簿記にはルールがあります。
このルールは日常生活で自然と身に着くものではないので、しっかりと仕組みを理解してルールを覚え、再現できるようになるために勉強する必要があります。
そのため、難易度が低いからといって真面目に勉強していない場合、ふわっとしか理解できず不合格になってしまうことが十分あり得ます。
簿記の基礎が理解できていない
真面目に勉強しているにも関わらず、簿記3級に落ちてしまう場合、そもそも簿記の基礎が固まっていないという可能性が高いです。
簿記が初めて勉強する分野であったり、実務経験がない場合、
- 簿記の全体像をイメージできていない
- 基礎的な専門用語の意味をしっかり理解できていない
という可能性があります。
全体像がイメージできず、専門用語の意味もしっかり理解できていない状態で勉強してもふわっとしか理解できないため、真面目に勉強したのに不合格になってしまうということが十分あり得ます。
ケアレスミスが多い
ケアレスミスの多さも不合格の理由の一つになります。
簿記3級の合格基準は70%(70点)で固定です。
簿記3級と同程度の難易度とされるFP3級やITパスポートは60%が合格ラインのため、それより高得点をとる必要があります。
簿記はあくまで資格試験で、合格させるための試験ではないため、もともと100%の力を出し切ったとしても100点をとることは難しいことを考えると、70%以上得点が必要ということは1つ2つのケアレスミスが命取りになることが十分考えられます。
もともとケアレスミスをしやすいという場合は、ケアレスミスを減らすための対策が必要です。
練習量が足りない
練習量が足りていないことが原因で不合格になるというケースもあります。
簿記の仕組みなど理論的な部分はきちんと理解できていたとしても、試験では理論ではなく実際に仕訳をきったり財務諸表を作成する問題が出題されます。
問題数が少なく誰でも必ず時間内に解き切れるような試験ではなく、推定問題など考えさせられる問題が出ることもあるため、ただ理解しているだけではなくある程度問題を解くスピードも重要になってきます。
勘定記入や伝票会計などはただ仕訳を切るというわけではなく若干特殊な論点になりますが、通常の仕訳問題や、仕訳を積み重ねていって最終的に財務諸表を作成するような問題は”仕訳をきる”のが基本的な作業になります。
そのため、スピードを上げるためにはたくさんの仕訳問題に触れ反復練習を積み上げることが重要になってきます。
簿記3級に合格するために必要なこと
簿記3級に合格するためには
- 簿記の性質や仕組みをしっかり理解して
- 反復練習を繰り返し
- 最終的に自力で財務諸表を作成できるようにする
必要があります。
簿記は2級までであれば独学での合格も目指しやすい試験で、実際独学で簿記3級合格を目指したいという人も多いと思います。
独学で簿記3級合格を目指す場合、以下のステップで勉強を進めるのがおすすめです。
- STEP1参考書を1周する
- STEP2問題集を1周する
- STEP3間違えた問題を解きなおす
- STEP4問題集を再度1周する
- STEP5過去問を解く
- STEP6直前模試を解く
独学におすすめの勉強法詳細と注意点については別記事で詳しく紹介しています。
また、独学での合格は難しそうと感じてしまっている場合は、資格スクールの利用がおすすめです。
独学で合格を目指す場合と比べると若干費用はかかってしまいますが、通信講座であれば格安でプロの先生の講義が受けられます。
また、独学で何度も不合格になり毎年テキスト・問題集を買い換える必要がでてきた場合、通信講座で一発合格を目指した方がトータルの費用はかからなかった、ということになる可能性は十分あり得るため、独学での合格が難しそうな場合は諦める前に通信講座の利用を考えてみてください。
まとめ:相応の努力をしなければ誰でも落ちる試験です
この記事では、簿記3級は誰でも受かるのか、そう言われる理由や簿記3級に落ちてしまう理由、合格するために必要なことを詳しく紹介してきました。
結論としては、当たり前ですが簿記3級は誰でも受かる試験ではありません。
相応の努力をしなければ誰でも落ちてしまう可能性がある試験です。
ただし、誰でも受かる試験ではないですが、しっかり勉強すれば合格できる可能性は高いです。
現在は授業受講・問題演習・模擬試験がすべて無料で受けられるオンライン講座やWEBサイトも充実しており、無料のサービスは怪しいと感じてしまう人も多いと思いますが、きちんとしたサービスを選べば完全無料でも合格を目指すことは可能です。
無料教材であれば途中でやめたとしてもかかった費用はゼロで何かデメリットがあるわけではないため、簿記を勉強しようか悩んでいる場合は一度無料サービスを利用してみるのもおすすめです。